木村秋則さんの記録を描いた本「奇跡のリンゴ」という本を読んだ。
いやぁ、もうなんというか言葉が出ませんでした。
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木村さんが成し遂げた偉業とは「無農薬で作ったリンゴ」です。
近年の健康ブームからすると「無農薬でリンゴなんて余裕だろ?」と思われそうですが
現在の甘くて大きい品種改良されたリンゴは、農薬で育てることがそもそもの前提です。
リンゴとは農薬ありきの作物なのです。
木村さんはその前提に立ち向かって行くわけです。
農薬をやめたことで毎日何千匹といる害虫を払い、木を病気から守るために様々な方法を試します。
醤油をかけてみたり、酢をかけてみたり、、、
開始当初、収穫はほとんどありません。家は貧乏になっていくばかり。
娘3人に一つの消しゴムを三等分して渡したり、オフシーズンは東京に出稼ぎに行くも、宿は無いから公園で野宿…
たくさんの農家に「アイツは頭がおかしくなったから関わらない方がいい」と言われたのでした。
もうどうすればいいのかわからない、このまま自分は死んだ方が幸せなのではないのか。
木村さんは一本のロープを持って、山奥へ入って行くのです。
そのロープを木にひっかけようとするのですが、うまくかかりませんでした。
落ちたロープを拾おうとした時、一つのことに気づくのです。
「なぜこの山の木々は誰も手入れをしていないのに立派な葉をつけるのだろうか」
ここから木村さんはまた走り出したのでした。
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どうも今年は大地震にはじまり原発事故、おまけに台風直撃と
自然を人工的におさえつけることが無理って感じになっとる。
いかに共存するかが…
とか知った風な口で話したくないのですが、つまりはこうした表面的な知識だけでは
何も成り立たないということを木村さんは教えてくれます。
その日の天気を知る事はもちろん、枝の切り方一つで来年の葉の付き方は変わり
害虫の卵を払うタイミング、土の温度、酢をまくポイント…
「百姓」とは百の仕事を知っているから百姓だ、との言葉が示す様に
一つの仕事には付随する百の仕事があるのかもしれません。
これは単なる農家の一仕事ではなく、多くの仕事に当てはまるのではないでしょうか。
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現在木村さんは全国各地、海外へも講演や指導を行っているみたいなのですが
こうして出来た無農薬作物を「低価格で」売るように推進しているようです。
木村さんの並々ならぬ努力、死を考え極貧生活を味わったのであれば
少しは高価格にして報われても良いのではないかと思うのですが
木村さんは農薬で作られた作物と競争させることで
農薬を使っている農家へ警鐘を鳴らしたいと考えているようです。
農薬とは人間の都合の良い様にしているだけだ。木々を弱めているだけだ。
目先の利益ではなく、これからの未来を考えておられるその姿勢に感服しました。
事実、1991年に青森を襲った台風により、青森の農家は合計700億を越える被害を出したのですが
木村さんの農場は8割ものリンゴが残っていたそうです。
自然に出来た実と枝の結びつきは強いのだと、それを弱くするのは当たり前に農薬なのでした。
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最後にボクはこの本に批判をしたいと思います。
僕は本を読む人に比べれば読書量は少ないので、何が良いのかは分かりませんが
内容ではなく、この著者の文章。非常にわかりにくいし、クドい。
何が残念なのかと言いますと、こうした木村さんが成したような偉業は
ライターがしっかりと伝える義務があると思うんです。
それを自己陶酔極まりない文書で濁すことは非常によろしくない。簡潔に書けよ、と。
さらに以下は著者ではなく編集者に言いたいのだが
右上の「た」。なんだこれ。
こういう編集はやめて欲しい。
前のページ、その前のページのどこかで一行減らせば、この「た」はこのページに存在しなかった。
これがこのページの機能美を損ねているのが分からんのかね…おいおい
あぁ、幻冬社って良い本出すから好きだったのに、これじゃぁガッカリだぜ。
最後にもう一つ、吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」という本がもの凄く良かった。
タイトルだけ見れば流行りの自己啓発(笑)みたいですが決してそういう安直なものではないです。
もう70年ほど前に書かれた本ですが、中学生のとき読んでいたら人生変わっていただろうなと強く思う。
将来子どもにも読ませたい本の一つです。
(魔法陣ぐるぐるも)
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